FOLFIRIおよびFOLFOXとのcetuximab併用療法は、転移性大腸癌の治療に有効である。今回は転移性大腸癌の1st-lineとして、FOLFIRIあるいはFOLFOXの5-FUを経口FU剤であるcapecitabineに置き換えたXELIRI、XELOXとcetuximabの併用療法に対する無作為化比較第II相試験を行った。
転移性大腸癌患者185例に、XELIRI (irinotecan (CPT-11) 200mg/m2 day1+capecitabine 800mg/m2、1日2回、day1-14、3週毎; 65歳以上は20%減量) +cetuximab (400mg/m2 day1、その後毎週250mg/m2) またはXELOX (oxaliplatin (L-OHP) 130mg/m2 day1+capecitabin 1,000mg/m2、1日2回、day1-14、3週毎) +cetuximabを投与した。
一次エンドポイント: | objective response rate (ORR) |
二次エンドポイント: | time to progression (TTP)、disease control rate (CR+PR+SD)、忍容性、grade 3/4 の有害事象 |
Intension-to-treatment 解析の対象となったのは177例 (XELIRI+cetuximab群89例、XELOX+cetuximab 群88例) である。ORRはcetuximab+XELIRI群が46.1%、XELOX+cetuximab 群が47.7%であり、disease control rate はそれぞれ74.2%と77.3%であった。PFS中央値はそれぞれ、6.1ヵ月と7.1ヵ月、OSは21.1ヵ月と25.5ヵ月であった。
81.3%の患者でKRAS 発現状態の解析が可能であり、野生型が63.2%、変異型が36.8%であった。KRAS 発現状態はORRには影響せず、progression-free survival (PFS) およびoverall survival (OS) はKRAS 変異型に比べて野生型で延長する傾向がみられた。
Grade 3/4の有害事象は、下痢がそれぞれ15.7%と19.3% (p<0.56)、皮疹が12.4%と20.5% (p<0.16)、神経毒性が1.1%と14.8% (p<0.01) であった。
転移性大腸癌に対する1st-lineにおけるXELIRI+cetuximab療法、およびXELOX+cetuximab療法の効果および忍容性が確かめられた。両レジメンは毒性のプロファイルが異なるが、有効性に差はなかった。しかし、capecitabineとcetuximabの組み合わせが理想的であるかは課題である。
本邦では、すでにXELOX+bevasizmab療法あるいはXELOX+bevasizmab療法が一般診療の中で頻用されている。cetuximabとの併用についても注目されるところではあるが、COIN試験でXELOX療法とcetuximabとの相性の問題が提起されている。また、XELIRI療法については、CPT-11の承認用量を超える投与量やcapecitabineの減量投与等があり、すぐに本邦での一般診療への応用化は難しいと考える。
(レポート:松阪 諭 コメント:佐藤 温)