Bevacizumab併用化学療法は進行再発大腸癌における標準治療であるが、1st-line耐性後の2nd-lineにbevacizumabを継続投与するかについては、エビデンスに乏しい。特にbevacizumabの治療効果予測因子は明らかではない。
FOLFOX4±bevacizumab投与症例における循環血中の血管内皮細胞 (CEC) および血管内皮前駆細胞 (CEP) を、フローサイトメトリーを用いて経時的 (投与前、投与4日目、2コース開始前、効果判定時) に測定した。さらに血管内皮細胞については、VEGFR1、VEGFR2、Tie-2およびCXCR4の発現を解析した。
FOLFOX4群とFOLFOX4+bevacizumab群のCECは、ともに有意な経時的変化を認めなかったが、CEPはFOLFOX4+bevacizumab群で投与4日目に有意に減少した (p<0.03)。CECの発現マーカーについては、FOLFOX4+bevacizumab群で投与前のCXCR4陽性CECがPD群でnon-PD群に比べ有意に高値を示した。
投与4日目のCEPが0.04%未満のFOLFOX4+bevacizumab群は、CEPが0.04%以上のFOLFOX4+bevacizumab群に比べて、progression-free survival (PFS) およびoverall survival (OS) が有意に延長した (p<0.001、p=0.007)。CEPが0.04%以上のFOLFOX4+bevacizumab群のPFSおよびOSは、FOLFOX4群とほぼ同等であった。
また、治療開始前のCXCR4+CECが0.20%未満のFOLFOX4+bevacizumab群は、CXCR4+CECが20%以上のFOLFOX4+bevacizumab群に比べて、PFSおよびOSが有意に延長した (p<0.001、p=0.002)。CXCR4+CECが20%以上のFOLFOX4+bevacizumab群のPFSおよびOSは、FOLFOX4投与群とほぼ同等であった。
治療開始前のCXCR4+CECが20%以上、または投与4日目のCEPが0.04%以上であるFOLFOX4+bevacizumab群は、bevacizumabを併用しない場合とほぼ同等の有効性しか認められず、bevacizumabの投与の継続のベネフィットはないと考えられた。
個別化治療が求められている現状において、bevacizumabの治療効果予測因子となる生物学的マーカーはまだコンセンサスがない。本研究結果はまだ未熟ではあるが、今後の可能性を秘めており、期待される。
(レポート:松阪 諭 コメント:佐藤 温)