不安・抑うつは、告知直後から多くのがん患者さんが経験する精神症状だが、外見ではわかりにくい上に本人が自覚していない場合もあり、見過ごされているケースが少なくない。しかし、時に自殺の原因となることもあるため、適切な介入が必要である。
抑うつを見逃さないために最も重要なのがスクリーニングである。まずは診断時に行い、その後は定期的、あるいは「治療の開始時」「病状が進行したとき」「希死念慮を表明したとき」などのイベント時に行うことで、症状を見逃さないようにしたい。
近年、“精神的苦痛 (emotional distress) は6つめのバイタルサイン”といわれている。患者さんのQOLを維持しながら抗がん治療を行う上で、不安・抑うつの拾い上げと適切な対応は不可欠である。