緩和ケアの巻 緩和ケア編
第9回 緩和ケアの巻 2012年2月3日 シャングリ・ラ ホテル東京にて
其の五
家族の自責の念や苦しみに目を向け、精神的負担を少しでも減らすようなフォローをすべし。
 終末期になると、身体状態の悪化に伴って患者さんの認知能力が低下し、家族に種々の決断が委ねられる機会が増える。しかし、鎮静や輸液治療の適用など、判断の難しいデリケートな問題も多く、家族の精神的な負担は大きい。実際、がん患者の遺族に対する調査より、現在の病状や治療の決断に関して、「病院に行くことをもっと強く勧めていたら、こんな状況になっていなかったのでは」「鎮静に同意をしたけれど、ほかにもっとよい方法があったのでは」等、自責の念を抱き、つらく感じていたことが示されている。
 終末期の患者さん家族と接するときは、こうした苦しみに目を向け、精神的負担を少しでも軽くするような対応が勧められる。例えば、治療の導入を検討する際にはshared-decision makingを意識した話し方をしたり、治療に対する誤解がある場合には「きちんとしたエビデンスがあるので、この治療をしても患者さんが苦しくなることはありません」などと、明確に伝えることが大切である。また、心情を吐露することで気持ちが軽くなることもあるので、看護師から声をかけてもらうのもよいだろう。
其の壱 其の弐 其の参
其の四 其の五
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