抗がん治療を円滑に進める上で痛みの治療は不可欠であり、抗がん治療と並行して早い段階から行うべきである。疼痛治療の基本となるのは「WHO方式がん疼痛治療法」である。WHO方式では、主要な疼痛治療薬を効果の強さによって (1) NSAIDs、(2) 弱オピオイド、(3) 強オピオイド、の3段階に分類し (「3段階除痛ラダー」と呼ばれる)、痛みの強さに応じて段階的に使用することを推奨している。加えて、オピオイドが効きにくい「びりびりするような痛み (神経障害性疼痛)」に対しては、各種の鎮痛補助薬の併用が勧められる。
　疼痛治療薬と鎮痛補助薬には多種の薬剤があるが、まずは3段階除痛ラダーの各段階につき1〜2剤ずつと、コルチコステロイドを含む数種類の鎮痛補助薬の計10種類前後の使用方法を理解することと、マニュアルを通読し、それらの薬剤を実際に使えるようになることが肝要である。