CPT-11とともに、TS-1をfirst lineから継続投与
CPT-11とtaxane系薬剤のうち、脱毛が少ない点を重視してCPT-11を選択します。CPT-11 80mg/m2（週1回）を2週間施行し、TS-1 80mg/m2を2週投与後1週休薬で継続投与します。Third line治療は考慮せず、second line治療を可能な限り継続します。その後、third line治療を行うことになれば、必然的にtaxane系薬剤を選択することになります。症例背景については、本症例は原発巣切除後のため、分化型は特に考慮しません。実地臨床ではchemo-radiationを施行する場合もあります。
TS-1単剤を継続、PD後はCPT-11/CDDP切り換えも選択肢
組織型（tub 1）を考慮し、CPT-11単剤あるいはCPT-11/CDDPのいずれかを施行します。CPT-11/CDDPは比較的毒性が強いregimenですが、JCOG9912の経過から奏効率はよいとの印象があります。また、胃原発巣では増悪がみられたものの肝病変はNCですから、肝病変にTS-1が奏効していると考えられます。したがって、もう1つの治療選択肢として、TS-1単剤をしばらく継続しPDとなったところでCPT-11/CDDPに切り換える。このアプローチは患者さんのQOLを維持できると思います。Third line治療は、優れた成績が報告されている5-FU/TXLも考慮します。
TS-1を継続し、報告の多いCDDPを併用
TS-1を続けながら、TS-1との併用効果が最も確実であるCDDPを上乗せします。Third lineを考慮する場合は、経口摂取が可能であればTS-1はそのまま継続しtaxane系薬剤を併用するでしょう。経口摂取が不能な場合は、静注薬の2剤あるいは3剤併用regimenを実施する戦略がよいと思います。TS-1を継続する根拠は、CDDPによるDNA損傷を腫瘍細胞が修復しようとする際、TS-1によるdeoxythymidineの合成阻害がDNAの修復を妨げる可能性があるからです。おそらく、FOLFOXやFOLFIRIにおけるLV/5-FUの役割も同様であると考えます。
TS-1は中止し、seconde lineとしてCPT-11単剤で治療
TS-1は中止して、CPT-11単剤によるsecond line治療を選択しますが、毒性対策としてビリルビン値や肝機能検査値に注意します。もしthird line施行が可能な状態であれば、TXLの週1回投与で治療を行います。胃癌治療のkey drugとして5-FU系、CPT-11、taxane系薬剤を使い切ることが重要で、大腸癌よりも速やかな薬剤切り替えのタイミングや、病態に応じた薬剤の選択が必要になります。
CPT-11かtaxane系薬剤を主に、症例に応じてregimenを選択
TS-1を中心にせず、CPT-11かtaxane系薬剤のいずれかを主としたregimenを実施します。CPT-11を選択する場合は、腎機能障害があればCDDPは上乗せせず単剤で用います。また、肝臓に胆汁うっ滞が予測される場合はCPT-11の量を減らすためにCDDPを併用します。ただし、second line、third lineでは全身状態のあまりよくない症例が含まれるので、できるだけ分割投与することを考えます。Taxane系薬剤については、第II相試験で成績が報告されているweekly TXLや5´-DFUR/TXTなどを用いています。
