WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE 11 進行胃癌 2006年3月開催

CASE11 写真

症例プロファイル

患者 55歳、男性
主訴 心窩部痛、食思不振、体重減少
既往歴 特記すべき事項なし
家族歴 特記すべき事項なし
嗜好品 喫煙習慣なし、機会飲酒
患者の希望 1)可能な限りは積極的な治療を望む
2)日常生活が営めるようになりたい

現病歴

平成16年4月上旬より心窩部痛、食思不振、体重減少(4kg/2ヵ月)出現。同年5月に当科受診、上部消化管内視鏡検査および腹部CT検査にて胃前庭部全周性の2型胃癌(tub 1)、および肝両葉に広がる多発転移巣が確認され、加療目的で入院。

本人に告知および治療についてのインフォームドコンセントを行ったうえ、同年5月下旬からTS-1単剤(120mg/日)による治療開始。主な副作用は皮膚色素沈着および味覚異常のみであり、効果判定は胃原発巣NC、肝転移巣NCで、約4ヵ月の治療が施行された。

同年10月、胃原発巣の増悪(PD)のため幽門部狭窄をきたし、食事経口摂取不可の状況となり、11月に症状緩和を目的に当院外科にて胃幽門側切除術が施行された。

同年12月、食事の経口摂取が可能な状況となり、化学療法目的で当科に転科。

身体的所見

入院時現症

  • 身長165cm、体重52kg
  • 体温36.4℃、血圧124/68mmHg、脈拍80/分
  • 腹部正中に手術痕あり
  • 腹部は平坦、軟
  • 右季肋部から心窩部に3横指の肝触知、腹水なし
  • 眼瞼結膜、貧血なし、黄疸なし
  • 四肢に浮腫は認めず
  • PS=1、KPS 80%

検査所見

血液学的検査
WBC 6,500 Hb 10.0
Neutro 4,200 Plt 23.4万
RBC 350万    
生化学的検査
Na 136 TP 6.4
K 3.8 Alb 3.9
Cl 100 T-Bil 0.8
Ca 8.9 AST 35
UA 3.4 ALT 45
BUN 22.2 ALP 280
Cr 0.8 γ-GTP 60
腫瘍マーカー
CEA 84.9 CA19-9 1,980

論点

1) Second line治療を考えるか、そのregimen候補は何か
2) Third line治療は考えるか、そのregimen候補は何か。また、third line治療を視野に入れてsecond line治療を選択決定するか
3) Second line、third lineの選択時にどんな症例背景因子を考慮するか
4) 本症例は5-FU不応と判断するのか、またsecond line以降に5-FUを使用することは妥当か否か
5) CPT-11のよりよい使用方法は単剤かあるいは併用療法か
6) Paclitaxel(TXL)とdocetaxel(TXT)は実臨床現場において使い分けがあるのか
7) 後治療の有用性を検討するために今後の研究の進め方はどうすべきか

出題:佐藤先生

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