大村:次にsecond lineですが、first lineがFOLFOXであればFOLFIRIを、first lineがFOLFIRIであればFOLFOXを選択するというようにクロスオーバーするのが一般的だと思いますが、それ以外のご意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。
佐藤:FOLFOXがfirst lineだからといって、second lineをFOLFIRIにする必要はないと思います。FOLFIRIは副作用の出方に個人差が大きく、regimenどおりに投与することが難しいケースも多いです。LV/5-FU、L-OHPに続いてCPT-11を投与することが必要なのですから、LV/5-FU が first lineで十分に投与できた場合はCPT-11単剤でもよいのではないでしょうか。
瀧内:私もFOLFOXのsecond lineとしてCPT-11 150mg/m2を隔週で投与しています。FOLFIRIにすると毒性が強く出ますので、継続性という点で問題があると思います。
坂本:内科の先生方は second lineにCPT-11単独を使うことがあるということですね。
大村:久保田先生は、first lineはmFOLFOX 6もしくはFOLFOX 4というご意見でしたが、それがrefractoryになったときのsecond lineはどうされますか。
久保田:通常はFOLFIRIを選択するところでしょうが、FOLFIRIはあまり経験がありませんので、現在は大学のプロトコールに従ってCPT-11/TS-1を投与します。
坂本:現在、CPT-11/TS-1の効果は、どの程度のエビデンスが報告されているのでしょうか。
久保田:胃癌と同じ「80・80」のregimen(TS-1:80mg/m2連日2週間、CPT-11:80mg/m2 day 1、8を2週間投与し、1週間の休薬を行うのを1サイクルとする)でphase I/II試験を実施したところ、忍容性には問題ありませんでした。
佐藤:現在、second lineを対象に多施設共同でFOLFIRIとCPT-11/TS-1(IRIS)の比較第III相試験が行われています。
坂本: CPT-11/TS-1についてはまだ臨床研究の段階ですから、phase III試験結果を待たなければなりませんね。私の場合、現時点ではエビデンスに基づいてFOLFIRIをfirst lineとし、FOLFOXをsecond lineにします。もしくは、先ほど言いましたFOLFOXIRIの3剤併用投与です。これまでに多少の減量をしたうえで投与したところ、予想以上によい結果が出て、驚きました。この治療については今後、もっとしっかり検討していく価値があるのではないかと考えています。
佐藤:FOLFIRIからFOLFOXへのラインは問題ないのですが、FOLFOXからFOLFIRIへと移行する場合、全身状態が悪化しているとsecond lineのFOLFIRIに対する忍容性が低くなります。ですから私は、FOLFOXが十分に投与できたのであれば、second lineはCPT-11単剤にします。FOLFOXが1〜2サイクルしか投与されていなければ、LV/5-FUを続けて投与したいという考えから、FOLFIRIを選択します。