抗EGFR抗体薬の投与においては、強いinfusion reaction (IR) によりショック状態を起こし、生命にかかわる事態に及ぶこともある。頻度は少ないものの、虎の巻編集委員会の医師の間でもGrade 4のIRを経験した医師がおり、「滅多に起こらないもの」ではなく、「起こりうるもの」として

体制を整えておきたい。IRを起こした場合も、(1) 投与時間の延長、(2) 前投薬、(3) Cetuximabの場合は完全ヒト型抗体のPanitumumabに変更、(4) 減量などの方法により治療を継続できた例もある。ただし、PanitumumabもIRの可能性が皆無ではないため、油断は禁物である。
特に3rd-lineとして投与している場合は、IRによって治療を中断すると、以降の有効な治療手段がなくなってしまう。前述のような工夫を行い、できるだけ治療を継続し、有効な薬剤を安全かつ十分に使い切る努力が求められる。