ケースカンファレンス〜トップオンコロジストはこう考える〜
監修中島 貴子 先生聖マリアンナ医科大学
臨床腫瘍学
日常診療で遭遇する症例を取りあげ、トップオンコロジストが治療方針を議論するケースカンファレンスをお届けします。
CASE1
2017年6月開催
経口摂取不良の切除不能胃癌に対する
治療戦略
- 設樂 紘平 先生
国立がん研究センター
東病院
消化管内科 - 沖 英次 先生
九州大学大学院
消化器・総合外科
- 山ア 健太郎 先生
静岡県立
静岡がんセンター
消化器内科 - 結城 敏志 先生
北海道大学大学院
医学研究科内科学講座
消化器内科学分野
まとめ:トップオンコロジストはこう考える
設樂先生
本症例は比較的短期間のうちに経口摂取不良となり、貧血症状も認めたため、1st-lineとしてFOLFOXによる化学療法を選択した。適応を選べば胃原発巣の出血は放射線療法で約7割が一時的に止血されると報告されている。
沖先生
1st-lineではバイパス術を施行して経口摂取を改善し、化学療法を施行する。バイパス術が難しい場合には、FOLFOXによる化学療法を選択する。胃原発巣の出血がじわじわとした出血であれば化学療法や放射線療法、大量出血であればIVR、それでも止まらなければ緩和的手術も視野に入れる。
山ア先生
バイパス術で経口摂取の改善が認められないケースもあるため、1st-lineではバイパス術を選択せず、最初から化学療法を選択する。胃原発巣の出血に対しては、責任血管が分からないような状態であれば放射線療法を選択する。
結城先生
進行性の出血が認められなければ2nd-lineではRamucirumab+PTX療法を選択する。胃原発巣の出血はIVRでアプローチし、責任血管を同定できなければ放射線療法を選択する。
GI cancer-net
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