WEBカンファレンス | 臨床の場で遭遇しうる架空の症例に対して、それぞれの先生方に治療方針をご提示いただき、日常診療における治療方針の選択にあたっての問題点等を議論していただいています。

CASE 17 大腸癌肝転移に対する化学療法(プレオペラティブケモセラピー)2009年4月開催

CASE17 写真

ディスカッション 2

化学療法の効果判定基準と、その頻度をどうするか

坂本: 化学療法の効果判定については、何を基準にされていますか。また、効果判定の頻度はどの程度でしょうか。レジメンによって、その頻度は変わるのでしょうか。

佐藤: 私は、最終的には画像診断で腫瘍縮小効果を診断します。RECIST判定はあくまでも臨床試験における判定基準であって、臨床現場に持ち込むとさまざまな不具合が出る可能性もありますので、必ずしもすべてをRECISTに則って判定を行う必要はないと思っています。
例えば、RECISTで最も問題になっているのは、PD (progressive disease)判定ですが、実際には一度腫瘍が縮小した際に20%増大でPDになったからといって、臨床現場ではすぐに治療を変えるというわけではありません。また、PRについてはRECISTの考え方でよいと思いますが、CRに関してはRECISTではCT検査に依存しすぎていることから、不向きだと考えます。本症例の場合、CRが得られたら、やはり原発巣の評価は必須となります。

坂本: 検査はどれくらいの頻度で行っていますか。

佐藤: 原則は2ヵ月に1回ですが、この症例のように、肝切除ができる可能性が十分にある場合には、1ヵ月後には再度検査をして方向性を確認します。これは手術ができるかできないかの判断をするためではなくて、疾患自体がどちらの方向に進むのかを判断するためです。その結果、明らかにPDの方向に進むのであれば、ほかのオプションに早期に切り替えるほうがメリットがあると判断します。

坂本: レジメンごとに効果判定の頻度が変わるというより、むしろ手術の可能性があれば、より頻回の検査を行うということですね。瀧内先生はいかがですか。

瀧内: 本症例については、最低8コース目までに肝切除をするか否かの決定をします。ですから、4コースが終わった2ヵ月後にCT検査を行い、もし切除可能であれば外科に相談しますし、切除できない場合や、ある程度腫瘍の縮小がみられる場合は、さらに2ヵ月後にCT検査を行います。8コース目までに切除できないのであれば、1st-lineにおける肝切除はあきらめます。8コース以上になると手術に伴う合併症も増えるといわれていますので、8コースまでに最低2回は画像診断を行い、結論を出したいと考えています。画像は、RECISTの基準に基づいて客観的な評価をします。

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