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D3郭清後にsLV5FU2を実施し、手術創の治癒後に
L-OHPとbevacizumabを上乗せ
巨大な肝転移巣を有する症例と考えられます。貧血を認めることより、腫瘍から出血していると判断し、まず切除を選択します。原発巣の結腸右半切除(D3郭清)を行い、術後は完全に手術創が治癒するまでsLV5FU2を、その後L-OHPとbevacizumab(bev)を上乗せします。
第二の選択肢として、術前化学療法を実施後、原発巣と肝転移巣を同時に切除するという治療法も考えられます。術前化学療法としては、肝転移巣を切除可能にする率が高いmFOLFOX6+bevを選択します。ただし、bevは手術創の治癒を遅延させる可能性も考えられるため、手術可能と考えられた時点でbevを休止し、mFOLFOX6のみにした後に手術に臨みます。
肝転移巣切除を目標に、術前化学療法としてmFOLFOX6+bevを選択
本症例はPS良好で、年齢も若いことから、遺残腫瘍なし(R0)の肝転移巣切除を目標に、術前化学療法を行います。その場合、生化学的検査の結果より、合併症の問題がないことから、現在我が国で使用できる治療法のなかでは、mFOLFOX6+bevがベストの選択といえます。実際、First BEAT試験では、L-OHPベースのレジメンにbevを加えた治療により、15%を超える肝切除率が得られています1)。また今後、cetuximabが1st-lineで使用できるようになった場合には、KRAS statusによっては、FOLFIRIあるいはFOLFOX+cetuximabもよい選択肢の1つになると思います。
切除に持ち込めるか否かの判断が重要。増殖速度が速い場合は術前化学療法を実施
右側腹部に腫瘤が触知することから、かなり大きな腫瘍と予測されるため、まず切除に持ち込めるか否かの判断が重要です。狭窄や出血の有無、周囲の浸潤の広さをみて、その結果、「まず原発巣を切除し、術後化学療法を実施する」のか、または「術前化学療法後に、原発巣と肝転移巣を同時に切除する」のかを判断します。我々が最も注意するのは、腫瘍の増殖速度と広がりの2点です。特に、増殖速度が速い場合は、術前に化学療法を行います。その場合は、やはり肝切除率の高さから、FOLFOX+bevを選択します。
術前化学療法を考慮し、FOLFOX+bevを選択
CTで肝臓の両葉に9個の転移性病変を認めること、大腸の原発巣による閉塞症状がみられていないことから、進行大腸癌ではあるものの1st-choiceとしての手術適応ではないと考え、まず、術前化学療法を考慮します。年齢が若く、PSも良好なため、FOLFOX+bevを4-6コース行い、CTで病変に対する効果を判定した後、bevの影響が減少する1ヵ月後あたりに、原発巣の切除と、可能であれば残存肝転移巣の切除 and/or 腫瘍焼灼術を行います。
術後はRの如何にかかわらず、全身状態をチェックしながら、LV5FU2もしくはFOLFIRI(UGT1A1の*28, *6の異常がないことを確認した上で)を施行します。さらに、EGFR陽性でかつKRAS 野生型であれば、上記の術後補助化学療法にcetuximabを加えることを検討します。
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