WEBカンファレンス | 臨床の場で遭遇しうる架空の症例に対して、それぞれの先生方に治療方針をご提示いただき、日常診療における治療方針の選択にあたっての問題点等を議論していただいています。

CASE 17 大腸癌肝転移に対する化学療法(プレオペラティブケモセラピー)2009年4月開催

CASE17 写真

ディスカッション 3

切除を決定する場合の判断基準は?

坂本: 切除を決める基準についてはいかがですか。

瀧内: 先ほど佐藤先生もおっしゃったように、外科との相談になります。

佐藤: 私も切除の可否の最終的な判断は外科に任せます。一般に、内科医は「切除できる症例を内科の判断で“できない”と決定してしまうことは避けたい」と考えていますので、外科と連携して決定します。

坂本: では、そのような相談を受けた際の外科医の判定基準として、大村先生はどのようにお考えでしょうか。

大村: 切除可能か否かの判断には、残存肝のvolumeの推測とR0切除が可能であるかが重要で
す。それには、腹部CT検査を中心とした画像診断が有用です。日本の肝臓外科医は転移が何個あっても取りますので、個数はあまり問題にならないでしょう。

坂本: 先ほどの瀧内先生のコメントとは異なりますが、JCOではFOLFOX+bevによって内皮細胞にダメージが生じ、類洞がつぶれて線維化が起こってblue liverになり、その結果として手術の際に出血しやすくなる5)と報告されましたが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

大村: 肝転移に対する手術では、系統的な区域切除や葉切除は極力避けます。また、現在のところ術前化学療法にFOLFOX+bevを使用した症例に対して肝切除を行った経験は1例のみですが、FOLFOXを使用した症例に対しては、より慎重な止血が必要でしょう。

坂本: 切除の際に、見かけ上消失した病巣をとりこぼすことがないように、化学療法前に内視鏡検査でマークしておくという話もありますが、いかがでしょうか。

大村: 肝表面上から認識できない場合は、術中エコーで確認します。術中エコーで認められない場合はCRと判断します。瘢痕らしきものが認められたとき、その部分をマイクロ波で焼灼することはあり得るかもしれません。

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