WEBカンファレンス | 臨床の場で遭遇しうる架空の症例に対して、それぞれの先生方に治療方針をご提示いただき、日常診療における治療方針の選択にあたっての問題点等を議論していただいています。

CASE 18 Bevacizumab投与中の進行・再発大腸癌 2009年4月開催

CASE18 写真

症例プロファイル

患者 71歳、女性
既往歴 白内障手術(62歳)
合併症 43歳より糖尿病治療中
家族歴 兄、肺癌で死亡
嗜好品 特になし
患者の希望 一番よい治療法をしてほしい。できるだけ家で暮らしたい。

現病歴

下行結腸癌に対し手術を施行された。術後6ヵ月のfollow-upで左肺に5個の結節影が指摘され、精査の結果、下行結腸癌の転移と診断された。

身体的所見

・軽度の症状はあるが、日常生活を営むことはできる(PS 1)
・身長158cm、体重52kg
・腹部平坦で、身体所見において手術痕以外に異常を認めない

検査所見

【血液学的検査】 【生化学的検査】 【血圧】
WBC 7,210/μL BUN 12mg/dL 116/76mmHg
RBC 372×104/μL Cr 0.5mg/dL  
Hb 8.2g/dL T-Bil 0.9mg/dL  
Plt 25.3×104/μL ALT 19 IU/L  
    AST 13 IU/L  
【腫瘍マーカー】 γ-GTP 40 IU/L  
CEA 21.0 ng/mL LDH 305 IU/L  
CA19-9 320 U/mL Dダイマー 0.5μg/mL  
    HbA1C 7.0  
    蛋白尿 1+  

治療経過

患者に病状を告知した上で治療法について説明を行った。患者はmFOLFOX6+bevacizumabを1st-lineとして希望し、施行した。

【臨床経過】(化学療法施行前に測定)

1サイクル CEA 21.0ng/mL、血圧126/86mmHg、蛋白尿:1+、Dダイマー:0.8μg/mL
2サイクル CEA 15.4ng/mL、血圧138/88mmHg、蛋白尿:1+
3サイクル CEA 5.0ng/mL、血圧142/88mmHg、蛋白尿:2+、Dダイマー:1.2μg/mL
患者より「鼻血が出る」と電話が入る。
4サイクル CEA 3.2ng/mL、血圧150/90mmHg、蛋白尿:2+、Dダイマー:1.4μg/mL
Dダイマーは3サイクルにて上昇がみられたため、続けて測定した。
4サイクル終了時 CT検査にて腫瘍縮小効果が認められた。

*このほかの副作用は、支持療法にて対処できた。

※Dダイマーの正常値は試薬や機器によって異なります。今回のWEBカンファレンスでは、1.0μg/mL未満を正常値としています。

論点

1) 血圧、尿蛋白、Dダイマーなどの測定意義と判定基準
2) 副作用対策について(高血圧、腎障害、血栓塞栓症)
3) Bevacizumabの副作用による減量・中止について
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