レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

FOLFOX+Panitumumab

Siena S, et al.: ASCO-GI 2010, abst #283

Panitumumabは、米国アムジェン社 (旧Abgenix社、Immunex社) がXenomouse®技術を用いて開発した高親和性のIgG2サブクラスのヒト型モノクローナル抗体である。PanitumumabはEGFRに結合し、内在性リガンドのEGFRへの結合と、その後に続くEGFRを介したシグナル伝達を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
欧米では、2006年9月 (米国) および2007年12月 (EU) に承認された。本邦においては、2010年4月「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を対象に、一次治療、二次治療、三次治療以降の治療薬として承認された。

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◆PRIME試験

PRIME試験は、化学療法未治療の転移を有する切除不能進行再発大腸癌患者に対する1st-lineとしてのFOLFOX4+Panitumumab併用療法とFOLFOX4単独療法を比較した海外無作為化比較第III相試験である。

3rd-lineとしてのPanitumumabの第III相試験 (20020408試験) のサブ解析結果を受けてプロトコルが改訂され、KRAS status別にプロスペクティブな評価が行われた。

■有効性

主要評価項目であるKRAS 野生型患者におけるprogression-free survival (PFS) の中央値はFOLFOX4+Panitumumab群が9.6ヵ月、FOLFOX4群が8.0ヵ月であり、Panitumumab併用群において有意な延長が認められた1)。また、overall survival (OS) の中央値はそれぞれ23.9ヵ月、19.7ヵ月であり、奏効率は55%、48% (ともにKRAS 野生型) であった。

  KRAS 野生型 (n=656) KRAS 変異型 (n=440)
  Panitumumab
+FOLFOX4
(n=325)
FOLFOX4
(n=331)
p値 HR
(95% CI)
Panitumumab
+FOLFOX4
(n=221)
FOLFOX4
(n=219)
p値 HR
(95% CI)
PFS中央値
(月)
9.6 8.0 0.02 0.80
(0.66-0.97)
7.3 8.8 0.02 1.29
(1.04-1.62)
OS中央値
(月)
23.9 19.7 0.07 0.83
(0.67-1.02)
15.5 19.3 0.07 1.24
(0.98-1.57)
奏効率 55% 48% 0.07   40% 40% 0.98  

■安全性

皮膚障害 (全Grade) の発現頻度はFOLFOX4+Panitumumab群で96%、FOLFOX4群で31%であった。KRAS 野生型におけるGrade 3/4の有害事象の発現頻度はFOLFOX4+Panitumumab群 vs. FOLFOX4群=84% vs. 69%、重篤な有害事象は40% vs. 36%、致死的な有害事象は5% vs. 6% (病勢進行による死亡例を含む) であった2)。最終報告におけるGrade 3/4の有害事象の発現頻度は下表の通りである3)

Reference

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