治療戦略の巻 大腸癌分子標的治療編
第6回 治療戦略の巻 2010年12月10日 ホテルラフォーレ東京にて
其の四
Conversion therapyにより、切除不能であった病変を切除できる可能性がある。「切れる・切れない」の判断は外科医に相談すべし。
 Conversion therapyとは、「治療前の時点では切除不能であるが、病変が小さくなれば切除が可能になると期待される症例に対し、化学療法で病変を縮小して切除手術に持ち込む治療法」を指す (ただし、世界共通の定義はまだ存在しないようである)。
 Conversion therapyにより切除が可能になる症例は10〜30%程度12, 13) とされており、conversion (=切除) に至らない症例も多いが、切除ができれば治癒の可能性は一気に高まり、その意義は大きい。
 Conversion therapyは、世界でもまだ十分な検討がなされておらず、
王道のレジメンは存在しない。一般には奏効率が高く、またレスポンダーでは短期間で大きな縮小が認められることのある抗EGFR抗体と、FOLFOXまたはFOLFIRIの組み合わせが用いられる。
 症変を切除できるかどうかの判断は、外科の間でもコンセンサスはなく、施設ごと、あるいは医師ごとに異なるのが現状である。診療連携を密にし、実際に外科医にCTを見てもらい、判断を仰ぐのが最善の策である。
其の壱 其の弐 其の参
其の四 其の五 其の六
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