治療戦略の巻 大腸癌分子標的治療編
第6回 治療戦略の巻 2010年12月10日 ホテルラフォーレ東京にて
其の五
抗VEGF抗体を含むレジメンを施行中に転移巣の切除が可能になった場合、手術前の一定期間は抗VEGF抗体を休薬すべし。
 Conversion therapyを意識していなくても、治療が奏効して、結果的に切除不能の
症変が切除可能となるケースがある。そこで注意したいのが、抗VEGF抗体を投与中の症例である。
 抗VEGF抗体の副作用の1つに「創傷治癒遅延」があるため、手術前の一定期間は、抗VEGF抗体の投与を控えなくてはならない。休薬中はFOLFOXなどのベースとなる化学療法を続けることが多いが、どうしてもパワーが落ちてしまうため、その間に腫瘍が大きくなる可能性があることは想定に入れておくべきであろう。
 なお、抗VEGF抗体の休薬期間についての十分なエビデンスはなく、NCCNガイドラインでは6週間以上の休薬を推奨している3)
其の壱 其の弐 其の参
其の四 其の五 其の六
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